MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、性格診断ツールとして広く認知されていますが、その結果が診断する度に変わることがあります。なぜMBTIの結果は一貫性がないのでしょうか? この記事では、その理由について詳しく解説します。
自己申告による回答の不安定性
MBTIの診断は自己申告に基づいて行われます。質問に対して正直に答える必要がありますが、これは意外と難しいものです。人は無意識のうちに見栄を張ったり、自分をより良く見せようとする傾向があります。このため、回答がその時の気分や環境によって変わることがあります。例えば、ストレスが多い日には内向的な回答が増えるかもしれませんし、楽しいイベントの後には外向的な回答が増えるかもしれません。
環境や精神状態の影響
診断を受ける環境やその日の精神状態も結果に大きな影響を与えます。例えば、仕事で疲れている日やプライベートで問題を抱えている日には、通常とは異なる回答をする可能性があります。このように、環境や精神状態が変わると、MBTIの結果も変わることがあるのです。
MBTI理論の限界
MBTIは1921年にカール・グスタフ・ユングの理論に基づいて作られました。元々の理論自体が古く、現代の心理学から見ると疑問点が多いと言われています。
二分できない性格特性
MBTIでは、「外向型」「内向型」などのように性格を二分することが基本です。しかし、現実の人間の性格はそんなに単純ではありません。統計的に見ると、多くの人は中央あたりに位置し、どちらか一方に極端に偏ることは少ないのです。このため、診断結果も左右にブレやすくなります。
科学的根拠の不足
MBTIは科学的な信頼性がないと多くの心理学者から批判されています。実際、MBTIの結果が一貫しないことから、信頼性が低いとされています。元となるユングの理論も、現代の心理学ではあまり支持されていません。
ネット上の診断の信頼性
最近では、ネット上で手軽にMBTI診断を受けられるサイトが多数存在しますが、これらの診断結果も一貫性に欠けることが多いです。
公式ではない診断
ネット上のMBTI診断は、公式のMBTIではなく、似たような性格診断テストが多く含まれています。公式のMBTI診断は、訓練を受けた有資格者が対面で行い、1日にわたるセッションを必要とします。そのため、ネット上で数分でできる診断とは信頼性が異なります。
主機能と補助機能の違い
MBTIでは「主機能」「補助機能」「代替機能」「劣等機能」という4つの階層があり、これらが組み合わさって性格を形成します。ネット上の簡易診断では、これらの階層を十分に考慮していないことが多く、そのため結果が異なりやすいのです。
MBTIのエンターテイメント性
MBTIは科学的な信頼性には欠けるものの、エンターテイメントとしては非常に人気があります。
韓国での流行
特に韓国では2021年頃からMBTIが大流行しています。K-POPアイドルのプロフィール欄にMBTIが記載されるなど、ファンはその結果を元に性格を想像したり、相性診断を楽しんでいます。これが一般人にも広まり、初対面の会話のきっかけとして使われることもあります。
日本での影響
日本でもK-POPの影響でMBTIが広まってきていますが、既に「血液型診断」という似たような文化があるため、そこまで大きくは流行していません。しかし、MBTIは16種類もあるため、ある種のパズルのようなゲーム性があり、エンターテイメント産業とは相性が良いと考えられます。
まとめ
MBTIの診断結果が変わる理由は多岐にわたります。自己申告による回答の不安定性や、環境や精神状態の影響、さらにはMBTI理論自体の限界が挙げられます。また、ネット上の診断の信頼性も低く、公式のMBTIとは異なる結果が出ることが多いです。
MBTIはエンターテイメントとして楽しむ程度にとどめ、真剣にとらえない方が良いでしょう。科学的な信頼性がないため、性格診断としての客観性を保つのは難しいのです。MBTIを通じて自己理解を深めることはできますが、その結果に過度に依存することなく、他の自己分析ツールや専門家の意見も参考にすることが重要です。